JavaScript経験者で、TypeScriptをこれから学びたい方に向けて、Windows 11とmacOSでのNode.jsおよびTypeScriptのインストールから“Hello, World!”を表示する方法を解説します。プロジェクトの基本構成やtsconfig.jsonの役割も詳しく説明します。
1. Node.js のインストール
Windows 11 の場合
- Node.js公式サイトにアクセスします。
- LTS(推奨版) をダウンロードしてインストールします。
- インストール中、
npmをインストールするオプションを有効にします。 - コマンドプロンプト(
cmd)またはPowerShellを開き、以下のコマンドでインストールを確認します。
node -v
npm -v
Node.jsとnpmのバージョンが表示されれば成功です。
macOS の場合
- Node.js公式サイトにアクセスし、LTS(推奨版) をダウンロードします。
- インストーラを実行してインストールを完了します。
- ターミナルを開き、以下を実行してバージョンを確認します
node -v
npm -v
2. TypeScript のインストール
- Node.jsに付属しているnpmを使用して、TypeScriptをグローバルインストールします
npm install -g typescript
- インストールが成功したら、以下でバージョンを確認します
tsc -v
3. プロジェクトの準備
- 新しいプロジェクトフォルダを作成します。
mkdir typescript-project
cd typescript-project
- プロジェクトの中に以下のフォルダを準備します
typescript-project/
├── src/ # TypeScriptファイルを配置するフォルダ
├── dist/ # コンパイル後のJavaScriptを配置するフォルダ
4. tsconfig.json の作成
tsconfig.jsonは、TypeScriptプロジェクトのコンパイル設定を管理するファイルです。以下の手順で作成します。
- プロジェクトのルートで、以下のコマンドを実行して初期化します。
tsc --init
- 作成された
tsconfig.jsonを編集し、次のように設定します
{
"compilerOptions": {
"outDir": "./dist", // コンパイル後の出力先
"target": "ES6", // 出力するJavaScriptのバージョン
"module": "CommonJS", // モジュール形式(Node.jsで使用)
"strict": true // 厳密な型チェック
},
"include": ["src/**/*"], // コンパイル対象のファイル
"exclude": ["node_modules"] // 除外するファイルやフォルダ
}
5. サンプルコードの作成
srcフォルダ内にindex.tsファイルを作成します。- 以下のサンプルコードを記述します。
const greet = (name: string): string => {
return `Hello, ${name}!`;
};
console.log(greet("World"));
6. コンパイルと実行
TypeScript のコンパイル
- プロジェクトのルートで、以下のコマンドを実行します:
tsc
dist/index.jsというJavaScriptファイルが生成されます。
JavaScript の実行
- Node.jsで生成されたJavaScriptを実行します。
node dist/index.js
- 以下の出力が表示されます。
Hello, World!
7. tsconfig.json の役割
tsconfig.jsonは、TypeScriptコンパイラの挙動を制御する設定ファイルです。主な役割は以下の通りです:
- コンパイル対象のファイル指定:
includeやexcludeで明示的に設定。 - JavaScriptバージョン指定:
targetで出力するJavaScriptのバージョンを設定。 - 型チェックの制御:
strictを有効にすると、厳密な型チェックが行われます。 - 出力先指定:
outDirで生成されたファイルの出力ディレクトリを指定。
典型的な構成例
{
"compilerOptions": {
"outDir": "./dist",
"target": "ES6",
"module": "CommonJS",
"strict": true
},
"include": ["src/**/*"],
"exclude": ["node_modules"]
}
8. 特定ファイルだけを手動でコンパイルする方法
特定のTypeScriptファイルだけをコンパイルする場合、tscに直接ファイル名を指定します:
tsc src/index.ts --outDir dist --target ES6
このコマンドでは、src/index.tsだけをコンパイルして、dist/index.jsに出力します。
まとめ
これで、Windows 11やmacOSでNode.jsとTypeScriptの環境を構築し、基本的なHello, World!プログラムを動かすことができるようになりました。TypeScriptの強力な型チェックとプロジェクト管理機能を活かして、より安全で効率的なJavaScript開発を始めてみましょう!
